記事のポイント
- TNFDの導入を早期宣言した321社が公表された
- 宣言企業のうち、日本企業が4分の1を占めた
- 2025年会計年度までにTNFDに沿った情報開示が求められる
国際組織TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)は1月16日、2025年会計年度までに、TNFDに基づいて「自然資本のリスクと機会」の情報開示を行うと宣言した321社を公表した。宣言企業のうち、日本企業が4分の1を占める結果となった。(オルタナ編集部・下村つぐみ)

TNFDは1月16日、ダボス会議でTNFDに基づいた情報開示を行うと早期に宣言した企業321社を公表した。そのうち、日本企業は81社で、全体の4分の1を占めた。
宣言した企業には、英国の公共放送を担うBBCや製薬企業のアストラゼネカ、世界有数の金融機関の一つである米バンク・オブ・アメリカなどが並んだ。日本企業では、味の素やキリンホールディングス、積水ハウス、KDDIなどがTNFD採用の意思を示した。
TNFDは、「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)」の自然資本版といえる情報開示のツールだ。2023年9月、情報開示のための最終フレームワークを公表し、「まずは始めてみよう」という開示のハードルを下げたキャンペーンのもと、企業の自然資本関連の情報開示を促してきた。
このキャンペーンでは、開示を始めるための7つのステップを推奨している。
1)自然の基礎について理解を深める
2)自然をビジネスケースにして、取締役や経営陣から賛同を得る
3)一部分だけでも自分が持つ情報の開示を始める
4)将来的に開示する範囲を拡大する計画を作成する
5)エンゲージメントを通じて集団的進歩を促す
6)自社の導入の進捗状況を監視および評価する
7)採用開始の意思をTNFDサイトに登録する
今回、TNFD早期導入企業として公表された企業は、2024 会計年度または 2025 会計年度までに、企業報告書において TNFD 勧告に沿った開示を開始する必要がある。
TNFDの公式ホームページでは、各企業がどちらの年度結果で開示する予定かを確認できる。2024年度開示を目指す日本企業には、ANAホールディングスやNECなど57社が名乗りを上げている。
国・地域別のTNFD導入企業数ランキング5は以下の通り。
1)日本 81社
2)英国 46社
3)フランス 19社
4)アメリカ 14社
4)台湾 14社