ヤマト運輸、「自称カーボンニュートラル」から脱却へ

記事のポイント


  1. ヤマト運輸は国際規格に基づいた脱炭素計画の策定に取り組む
  2. 主力商品「宅急便」などの脱炭素化について第3者検証を得ながら推進する
  3. 環境規制が強まり、カーボンニュートラルの「質」が問われている

ヤマト運輸は「自称カーボンニュートラル」から脱却し、国際規格に基づいた脱炭素計画の策定に取り組む。主力商品の「宅急便」「宅急便コンパクト」「EAZY」について国際規格に準拠したカーボンニュートラル化への計画を策定し、第3者検証を得た。環境規制の強まりや投資家などが企業に気候変動への対応を求める声は高まっており、カーボンニュートラルの「質」が問われるようになってきた。(オルタナS編集長=池田 真隆)

ヤマト運輸の長尾裕社長(左)とBSIグループジャパンの漆原将樹社長

ヤマト運輸は1月30日、主力商品の「宅急便」「宅急便コンパクト」「EAZY」について、国際規格ISO 「14068-1:2023」に準拠したカーボンニュートラリティ宣言を行ったと発表した。この宣言については、BSIグループジャパンによる第3者検証を得た。

ISO「14068-1」は2023年11月30日に公開した国際規格だ。カーボンニュートラルの達成を実証するための原則や要求事項を規定した。

近年、環境規制の強まりや投資家などの要請を受け、温室効果ガス排出量の第3者検証を得る企業は多い。ISO「14068-1」は、排出量そのものの検証から一歩踏み込み、カーボンニュートラルへの計画を検証するものだ。

ISO「14068-1」の第3者検証を得た企業は少ない。ヤマト運輸はBSIグループジャパンの第3者検証を得たが、BSIグループとしては初だ。

同社は、ISO「14068-1:2023」に基づき、主力3商品の2022年度の排出量のカーボンニュートラル化を達成した。EVや太陽光発電設備の導入などにより排出量を削減し、削減できなかった排出量は、第3者認証機関が認めたカーボンクレジットを購入しオフセットした。

2050年までは、排出量の削減・除去・オフセットを行い、引き続きカーボンニュートラル化を維持すると表明した。

ヤマト運輸の長尾裕社長は、「気候変動の緩和に向けた対応は社会全体の喫緊の課題だ。社会的インフラを担う物流企業として、持続可能な社会の実現への貢献を目指す」と強調した。

同社は、2030年に48%削減(2020年度比)、2050年にネットゼロの目標を掲げる。

M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナ輪番編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナ輪番編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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キーワード: #脱炭素

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