
3) CSV(クリエイティング・シェアード・バリュー)
マイケル・ポーター教授が提唱するCSVというコンセプトは米国と欧州のビジネス界でも浸透しつつあり、各プロジェクトは実行段階に入ってきた。
プーマ、ユニリーバ、ジョンソン・アンド・ジョンソン、インターフェイスをはじめとして、先進的な企業が、アフリカや南米などの発展途上国や新興国で行っているプロジェクトの報告は、企業が貧しい地域に一方的に善を施す、または資金・人的援助をする、というスタイルから脱却し、新たな次元に到達していることを感じさせた。
どの企業も、現地に根付き、現地の問題を解決することで共に利益を得よう、という方向性を重視しており、プロジェクトを軌道に乗せて、サポートに頼らなくても現地でビジネスを回していけるような、自助能力のある組織を育て上げることを目指している。
ジョンソン・アンド・ジョンソンは、取り組みが遅れているブラジルのゴミ処理問題を支援すべく立ち上げたProject Phoenixを紹介した。このプロジェクトは、ブラジルの生協を援助して、自発的にゴミの回収、再資源化の仕組みを構築するもの。
回収ゴミの品質もきちんと管理できるレベルにまでビジネスの質を引き上げ、再資源化されたものを、自分たちの製品のパッケージに使用しているのが特徴だ。
プーマがアフリカでプロジェクトを展開するのは、アフリカがサッカーの巨大マーケットであるからであり、現地の問題解決が即ちプーマの将来のビジネス拡大につながる、という考え方だ。
ここでも、一方通行の「援助」ではなく、初期の援助が現地で新しい価値を生み、その価値が新たな価値を生むという、双方向・多方向型の価値創造のシステムへのシフトが見て取れた。
「Sustainable Brands 2013」のホームページにはプレゼンテーションやセッションのビデオがアーカイブされており、無料で視聴できる。