記事のポイント
- 役員報酬のKPIにESG指標を採用する企業が世界で81%になった
- 調査対象はS&P500やFTSE100などを構成する世界1000社以上だ
- 環境関連指標の採用が急速に拡大している
英米系コンサルティング企業のWTW(ウイリス・タワーズワトソン)社はこのほど、企業の役員報酬へのESG指標の採用動向を公表した。調査対象は、S&P500、FTSE100、TSX60、TOPIX100などを構成する1000社超だ。企業の81%が役員報酬に、1つ以上のESG指標を組み込み、環境関連指標の採用が急速に拡大しているという。(オルタナ副編集長・北村佳代子)

WTWは4回目となる「役員インセンティブ・プランにおけるESG指標に関する調査」を公開した。北米、欧州、アジア太平洋地域の上場企業1000社超の公開情報を調査した。
その結果、役員報酬にESG指標を採用する企業は、2023年は全体の81%を占めた。調査を開始した2020年は68%、2022年は77%だった。
■欧州企業の93%が役員報酬にESG指標
地域別では、欧州企業での採用が93%と最も高かった。米国企業でも急速にESG指標の採用が進み、2020年の52%から2022年は69%、2023年には76%となった。
アジア太平洋地域では、インセンティブ指標を開示している企業のうち、77%がESGの要素を組み込む。シンガポールでは93%、オーストラリアでは86%と欧米に匹敵する数値となった国がある一方、中国企業は30%未満と、国・市場によってばらつきが見られた。
日本については、TOPIX100構成企業の72%(2023年3月期の有価証券報告書ベース)がESG指標を採用している。
■役員報酬に最も多く組み込まれている指標は「S」
■長期インセンティブ・プランへの採用も増加