
キリンの磯崎功典社長は7月19日午後、東京で開かれたCSVシンポジウムで講演し、同社がCSV(クリエーティング・シェアード・バリュー)活動に着手したのは、顧客にとっての価値の創造を通じて、企業ブランド力を強化することが目的であると述べた。(オルタナ編集長=森 摂)
CSVはハーバード・ビジネス・スクールのマイケル・ポーター教授が提唱した考え方で、企業のビジネス活動とCSR(企業の社会的責任)活動を重ね合わせ、顧客や社会などと価値を共有し、事業機会を増やしていくことを指す。
ビール業界を取り巻く環境としては1.人口減少、2.若者のアルコール離れ、3.小売り業態の変化――などがある。近年はさらに低価格化が進み、市場の将来性や、経営環境は極めて厳しい状況だ。
その中でキリンの磯崎社長は、CSVについて「これまでのCSRを進化させ、社会課題への取り組みによる社会的価値の創造と、企業の成長(競争力の向上)を両立させる経営コンセプト」であると定めた。
特に1.製品・サービス、2.バリュー・チェーン、3.地域社会への「3つのアプローチ」を進めていく。
具体的には、飲酒運転問題に対応するノンアルコールビールの「キリン・フリー」の投入、傘下のボルヴィックによる「1Lfor10L」活動、バリュー・チェーンにおいては国内最軽量ビンの開発による物流でのCO2の削減などがある。
地域社会へのアプローチとしては、「復興応援キリン絆プロジェクト」、47都道府県の食材のブランド化、岩手県のホップを活用したビールの投入などがある。