記事のポイント
- 財務省は2月14日、世界初となる「経済移行債」の初入札を実施した
- 発行したのは7995億円の10年債で応札倍率は2.9倍だった
- 資金使途にあった燃料アンモニア事業は海外からの批判を受け除外した
財務省は2月14日、世界初となる「GX経済移行債」の初入札を実施した。発行したのは7995億円の10年債で応札倍率は2.9倍だった。今年度は2月27日にも入札を行い、5年債を8000億円程度発行する予定だ。当初資金使途にあった、燃料アンモニア事業は海外の機関投資家などからの批判を受け除外した。(オルタナ副編集長=池田 真隆)
この経済移行債の正式名称は、「クライメート・トランジション(移行)利付国債」。2023年度は1.6兆円発行し、今後10年間で総額20兆円規模の国債を発行する。償還財源は、2028年度から化石燃料の輸入企業に課す賦課金と2033年度から始める電力会社への排出枠の有償オークションで賄う。
政府は、あらゆる産業のGX(グリーントランスフォーメーション)化には官民合わせて150兆円規模の投資が必要だと試算した。この経済移行債を呼び水に民間からの投資を引き出すことを狙う。

再生可能エネルギー推進事業などに充当する環境債(グリーンボンド)と違い、経済移行債の使い道は幅広い。全固体電池や水素関連技術、高温ガス炉実証炉の開発事業など様々な技術に充てる。民間だとリスクが高く、投資に踏み出しづらい「革新的技術」を支援するのが特徴だ。
当初の政府の計画では、火力発電の燃料にアンモニアを混ぜる「燃料アンモニア事業」にも資金を充てる予定だった。だが、今年度の経済移行債では除外した。アンモニアは燃焼時に温室効果ガスを排出しないが、製造時に排出する。海外の機関投資家から「グリーンウォッシュ」だと批判を受けていた。
2月14日の初回入札では、7995億円の10年債を発行し、応札倍率は2.9倍だった。利率は0.7%。2月27日にも入札を行い、5年債を8000億円程度発行する予定だ。