
LIXIL グループはこのほど、国連が提唱する「グローバル・コンパクト(UNGC)」に加盟した。住生活産業のグローバルリーダーを目指すうえで、環境・社会課題への貢献は不可欠だ。そこで同グループは、「人権、労働、環境、腐敗防止」の4 分野・10 原則を尊重し、社会の持続可能な成長を実現するための取り組みを進めていく。(副編集長=吉田広子)
UNGCは、1999年の世界経済フォーラム(ダボス会議)でコフィー・アナン国連事務総長(当時)が提唱したイニシアティブ。企業を中心にさまざまな団体が、社会の良き一員として行動し、持続可能な成長を実現するための世界的な枠組みづくりに自発的に参加することが期待されている。
2013年6月30日現在、世界約145カ国で11469の企業・団体が参加している。
<国連グローバル・コンパクトの10原則>
原則1: 人権擁護の支持と尊重
原則2: 人権侵害への非加担
原則3: 組合結成と団体交渉権の実効化
原則4: 強制労働の排除
原則5: 児童労働の実効的な排除
原則6: 雇用と職業の差別撤廃
原則7: 環境問題の予防的アプローチ
原則8: 環境に対する責任のイニシアティブ
原則9: 環境にやさしい技術の開発と普及
原則10: 強要・賄賂等の腐敗防止の取組み
また国連は、極度の貧困と飢餓の撲滅など、2015 年までに達成すべきミレニアム開発目標(MDGs)を掲げ、UNGC もこのMDGs の目標達成に向けた活動を推進している。
<MDGs :2015年までに達成すべき8つの目標>
Goal1 極度の貧困と飢餓の撲滅
Goal2 普遍的な初等教育の達成
Goal3 ジェンダー平等の推進と女性の地位向上
Goal4 乳幼児死亡率の削減
Goal5 妊産婦の健康状態の改善
Goal6 HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病のまん延防止
Goal7 環境の持続可能性を確保
Goal8 開発のためのグローバルなパートナーシップの推進
LIXILグループは、住生活産業のグローバルリーダーを目指し、世界30カ国以上で事業を展開している。このグローバル事業の中心となっているのが、LIXILの主要子会社でカーテンウォールのリーディングカンパニーであるペルマスティリーザグループだ。
世界の著名物件を受注している同社にとって、各国・地域で働く従業員やサプライヤーの人権の尊重、実行は必須命題であり、2008年にUNGCに署名している。
また、気鋭の建築家らとともに進める各プロジェクトでは、最新技術を生かし、環境分野の「原則7:環境問題の予防的アプローチ」「原則8: 環境に対する責任のイニシアティブ」「原則9:環境にやさしい技術の開発と普及」にも積極的に挑戦しているという。
地球環境保全については、まもなくグループに加わる予定のアメリカンスタンダード ブランズが、水資源問題に取り組み、北米を中心に節水製品を展開している。
節水・省エネなど、日本で培った高い環境技術を海外事業に活かし、世界各地の諸事情に合致したエコ製品を普及できれば、ミレニアム開発目標である「Goal7:環境の持続可能性を確保」することにもつながっていく。
LIXILグループは、「海外事業を拡大し経済成長を続けることと、UNGCの実行をはじめ企業としてリーダーシップを発揮し社会的責任を果たしていくことは、企業成長の両輪」としている。