記事のポイント
- Japanese Film Projectが「日本映画界のジェンダー調査2023冬」を公表した
- 2022年の興収10億円以上の実写映画監督の女性比率は0%だった
- 意思決定層に女性が少ないのは「働き方」に大きく関係する
持続可能な日本映画業界の実現をめざすJapanese Film Project(JFP、東京・渋谷)がこのほど、「日本映画界の制作現場におけるジェンダー調査2023冬」を公表した。2022年の興行収入10億円以上の実写邦画の監督の女性比率は0%だった。(オルタナ編集部・下村つぐみ)

JFPは、2021年から日本映画界のジェンダー格差と労働環境を調査している。背景には、様々なハラスメントや低賃金・長時間労働の問題による若手の人材不足がある。
同団体が公表した「日本映画界の制作現場におけるジェンダー調査2023冬」では、2022年の興収10億円以上の実写邦画の監督の女性比率は0%であったことが明らかになった。これは、作品のエンドロールの名前をもとに算出したものだ。
監督助手の女性比率は25%、撮影助手の女性比率は23%で、「助手」というアシスタント枠になると、女性比率が高まる傾向にあった。撮影や録音など現場での肉体労働に比べ、編集や脚本などデスクワークに女性が多い傾向も見られたという。
JFPの歌川達人代表理事はこの理由について、「時間が不規則で肉体労働が多い撮影現場よりも、編集や脚本などのデスクワークの仕事に女性が多いことを見ても、働く環境が大きく影響しているのが分かる。意識改革だけではなく、なぜ女性やマイノリティが参加できないのかを検証した上で、働く環境の整備が必要ではないか」と話した。