脱炭素化を実現するには、個人の行動変容が欠かせない。しかし、ボストン コンサルティング グループ(BCG)の最新の調査によると、環境問題への関心と実際の行動には乖離があることが分かった。どのように消費者の行動を変えていけるのか。7つの事例を紹介する。(オルタナ編集部)
BCGは3月22日、日本全国の15歳から69歳までの消費者を対象に実施した「サステナブルな社会の実現に関する消費者意識調査」の結果を公表した。
同調査によると、「環境問題に興味がある」との回答は65%だったが、そのうち「行動を変えた」のは18%にとどまった。
「環境負荷の少ない商品を買いたい」と回答した消費者は全体の66%に上ったが、そのうち「環境負荷の少ない商品を選んでいる」と回答したのは約半分の31%だった。
環境問題に対する消費者の行動変容に停滞感が見られるが、どのように変えていけるのか。
■ウォータースタンド、「マイボトル携帯で給水」を促す

ウォータースタンド社(さいたま市)は水道水を使用したウォーターサーバーのレンタル事業を通じて給水スポットの普及を進める。2月末現在、全国83の自治体・教育委員会と協定を締結し、連携の輪は企業や大学にも広がる。公共施設や学校、ホテル、駅などに累計15.5万台(2023年6月末)の「ウォータースタンド」を設置し、約9534万本のペットボトル削減につなげた。
神奈川県葉山町では、町庁舎のプラボトル廃棄量が94%減った実績もある。同社ESG推進室の小野優雅子さんは「大学生など、マイボトルの給水を習慣にされている人が増えている」と説明する。
こうした無料給水スポットを紹介するアプリもある。ソーシャル・イノベーション・ジャパンの「mymizuスポット」だ。給水記録をもとに、ペットボトル削減本数やCO2排出の削減量も可視化する。
■サミット、鶏肉の「ノントレー包装」でプラゴミ削減

首都圏に124店舗のスーパーを展開するサミット(東京・杉並)は、鶏肉を対象にトレーを使用しない袋詰め販売を行っている。プラスチック使用量削減の一環として、ゴミ袋有料化などを受けて2009年に始めた。
袋詰めは専用の機械で行い、大容量の鶏肉には保存しやすいようチャック付きの袋を使用する。豚肉や牛肉については、脂が表面に出て中が見えなくなるなどの理由から、従来どおりトレー販売を続けている。
「ごみが減るからありがたい」、「そのまま冷凍庫や冷蔵庫で保存できるので便利」など、利用客の評判も良い。「環境意識が高いお客さまからは、より高い評価をいただいていると思う」(広報部)と、エシカル消費の面からも支持を得ているようだ。
ノントレー包装の取り組みは他社にも広がっており、オーケーやイトーヨーカ堂でも行われている。
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