
米国で人気の自然派アイスクリームブランド「ベン&ジェリーズ(B&J)」。歯に衣着せず、難しい社会問題に取り組む企業姿勢は、お茶目なマーケティング手法と相まって、世界中にファンを増やし続けている。ベン・アンド・ジェリーズ社でソーシャル・ミッション・アクティビズム・マネジャーとして活躍するクリス・ミラー氏に、「出る杭でも愛される」秘訣を聞いた。(米カリフォルニア在住=藤美保代)
――一般企業で「社会活動」専従のチームがあるというのは非常にユニークです。どういった活動をされているのでしょうか。
5人のスタッフで、社内的にはサプライ・チェーンの環境負荷を低減したり、原料をフェアトレードにしたり、遺伝子組み換え製品の影響を減らしたり、といった活動をしています。
もう一つは、私が統括する対外的な活動で、政治・経済の問題について意見したり、改善を推進するためのキャンペーンを展開したりしています。
世界がもっと良くなればいい、と願わない人はいない。ベン・アンド・ジェリーズという企業の力を使って、世界をより良い場所に変えていくための声を上げ続けていくことが、私たちのミッションです。
――同性婚、遺伝子組み換え、選挙とお金の問題など、難しい社会問題に果敢に切り込んでいますが、顧客やファンは、社会活動をどうとらえているのでしょうか。
私たちは、社会活動を「消費者をエンゲージする機会」ととらえています。誰もが世界をより良い場所にしたいと思っている。ワシントンやウォール街で起こっていることに失望したりもしている。
私たちは、情報やリソースを提供することで、消費者にきっかけを与えたい。きっかけがあれば、皆がそういった問題についてもっと効率的に考えたり行動したりできるようになるはずです。もちろん離れていく客もいるでしょうが、それは表層的なことに過ぎない。多くの消費者は、逆に世の中を良くするために声を上げてくれる企業を待ち望んでいると思います。