■「商品を選ぶ力」を養う

「消費者は商品を売り込まれるのを嫌がる。講座を通じて消費者が商品を選ぶ力、料理を作る力を身につけることで毎日の食生活に喜びが生まれ、食の安全も守られる。
結果、消費者が店の商品を求めることにつながる」。福島氏は「講座ビジネス」の仕組みをこう説明する。
福島屋は羽村を中心にスーパーやレストラン、生花店など9店舗を運営。大手スーパーとの競争にもさらされながら、安売り広告などを用いずに過去40年間、連続黒字経営を達成している。
その「秘密」の一つが講座ビジネスだ。同社では「美味しい時間」と題して、店で扱う商品を使った料理教室や講座、パーティーを連日のように開催する。
「食べ物を選ぶスキルを持たない消費者は多い。店の商品を買ってほしいのは当然だが、その前に商品を選ぶ力を持ってほしいと考えた」(福島氏)。外部から講師を呼ばず、従業員がスタッフとして商品知識を学び、講座を運営。
社内のモチベーションが上がり、消費者と継続的にコミュニケーションを取ることも可能になったという。
消費者が商品を選ぶ力を身につけ、店も消費者のニーズをつぶさに知ることで、結果として売り上げの向上につながる。福島氏は講座ビジネスを「最強の販売方法」と自負する。