記事のポイント
- 学生団体GEILはこのほど、学生向けの政策立案コンテストを開いた
- 学生がチームに分かれ、首都直下型地震に対応した防災政策を考えた
- 「在宅避難」の普及を提案したチームが優勝した
学生団体GEIL(ガイル)は6月15〜16日、学生向けの政策立案コンテストを開いた。全国から集まった約40人の学生がチームに分かれ、首都直下型地震をテーマに防災政策を考えた。「在宅避難」の普及を提案したチームが優勝した。(オルタナ副編集長=池田 真隆)

同コンテストは、2日間の合宿形式で行った。事前に公募した40人を事務局が面接し、4人1組のチームに分けた。
コンテスト期間中は、会場となる国立オリンピック記念青少年総合センター(東京・渋谷)に泊まり込み、日夜議論を交わした。
今回のテーマは、首都直下型地震だ。国交省の地震調査研究推進本部地震調査委員会は今後30年間で70%の確率で起きると予測する。最悪の場合、死者は約2万3千人とし、そのうち7割が火災によると予測した。
学生たちは、事前に事務局が作成した資料を読み込み、日本の防災対策を学んだ上で、政策案を話し合った。政策を作るのは始めての学生もいるので、各チームには事務局からアシスタント役が就き、進行役を務めた。
外部審査員による審査で優勝したチームは、「在宅避難が当たり前の社会をつくる」という方針を打ち出した。
人口が密集する都市で大地震が起きると、避難所不足が予測される。今年元旦に起きた能登半島地震でも避難所に空きがないことが問題となった。
こうした課題に対応するため、在宅避難の普及啓発を目指した。有事に在宅避難ができるように「事前備蓄の登録制度」と災害時に在宅避難をしていることが事前登録制度によって行政に伝わる制度を政策案に盛り込んだ。現状の課題を丁寧に調べた上で政策案をまとめた点が評価された。
ガイルは1999年から毎年、学生向けの政策立案コンテストを開いてきた。夏には約1週間を掛けて政策案を競い合うコンテストを企画する。
学生にとっては政策案作りを通して、社会課題への学びを深める機会になるが、参加者同士の「つながり」も生んでいる。
ガイル広報局の米沢康佑局長(一橋大学法学部2年)は、「コンテストが終わった後、お互いを高め合う存在として貴重な仲間ができる」と話す。