イカナゴ漁、気候変動と稚魚の大量漁獲で危機に

記事のポイント


  1. イカナゴ漁が深刻な不漁に直面している
  2. イカナゴは高水温に弱く、夏の間、砂に潜って身を隠したまま「夏眠」する
  3. 気候変動の影響に加え、成熟前の稚魚の大量漁獲もイカナゴが減少した要因と考えられる

イカナゴは細い体をした美しい魚だ。

特に瀬戸内海では重要な漁業資源の一つで、兵庫県では、シンコ(新子)と呼ばれる稚魚を甘辛く煮た「くぎ煮」が伝統的な郷土料理として古くから愛されてきた。家庭で調理されることも多く、筆者の兵庫県の知人が毎年のように自家製のくぎ煮を贈ってくれていた。だが、数年前からそれが途絶えた。「極度の不漁でイカナゴが手に入らなくなった」というのがその理由だ。

イカナゴ漁が危機に瀕している

瀬戸内海東部だけでなく、日本各地のイカナゴの資源状態はいずれも非常に厳しい状況に置かれている。播磨灘では3月11日に解禁されたイカナゴのシンコ漁が、深刻な不漁を理由にわずか1日で終了となったことが報じられ、大阪湾では禁漁が続いた。

1971年には6万3600トンもあった瀬戸内海東部の漁獲量は減少が著しく、2020年には過去最低の833トンにまでに落ち込んだ。資源も漁業も崩壊状態にあると言っていい。

■イカナゴ資源の減少要因を探る
■科学的根拠に基づく資源管理を

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ida_tetsuji

井田 徹治(共同通信社編集委員兼論説委員/オルタナ論説委員)

記者(共同通信社)。1959年、東京生まれ。東京 大学文学部卒。現在、共同通信社編集委員兼論説委員。環境と開発、エネルギーな どの問題を長く取材。著書に『ウナギ 地球 環境を語る魚』(岩波新書)など。2020年8月からオルタナ論説委員。

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キーワード: #サステナビリティ

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