■ 子どもたちによる「さくらんぼ拾い」も
6月には、地域の親子連れら150人と母樹の「さくらんぼ拾い」を実施した。この取り組みは1947年、吉野の子どもたちの手によって始まった。
集めたさくらんぼの種は、果肉を取り除いた後、水につけ、沈んだ種を選別す

る。土中で保存し、来年2月ころに種を植え、苗木を育てる。今年は世界遺産10周年を記念して、新たに苗畑をつくったという。
こうした桜の保全活動を支援している企業の一つが、大和ハウス工業だ。2008年4月、吉野山保勝会からの協力要請を受けて活動を開始。吉野は、同社創業者・石橋信夫の出身地であり、この自然を守ることがCSRの重要課題と考えた。
同社CSR部上席主任の内田雄司さんは、「3万本の桜を維持するには、仮に寿命が1本100年とすると、単純計算で年間300本の植樹が必要だ。苗木の育成を保勝会のみなさんと推進しているが、これだけの景観を維持・保全していくのは容易なことではない。日本だけでなく世界の宝である、この吉野桜の現状をもっと多くの人に知ってもらい、一緒に守っていきたい」と意気込む。
同社は、チャリティコンサートへの協賛や吉野山での苗木育成ボランティア活動のほか、「SAKURA PROJECT(桜プロジェクト)」として、全国各地の小学校で植樹活動を展開。これまでに97校で248本を植樹し、参加者数は1万2000人を超えた。
福井理事長は、「こうした保全活動の効果が分かるまで、10年以上はかかる。しかし、1300年も続いた吉野の桜は未来につながっていくと信じている」と力を込めた。