オルタナ78号「林業トピックス」50
6月に公表した「令和5年度森林・林業白書」では、「花粉と森林」に焦点があてられた。スギ花粉症の有病率が年々上がる中で、伐採・植替えの加速や木材需要の拡大などで将来的にスギ林を減らしていくという花粉発生源対策の方向性を示した。
2023年5月に政府の関係閣僚会議でとりまとめた「花粉症対策の全体像」では、10年後に花粉発生源のスギ人工林を約2割減少させる。こうすることで、花粉量の多い年でも過去10年の平年並みの水準に抑えることが期待される。約30年後には花粉発生量を半減させることを目標に据える。
そこで「スギ人工林伐採重点区域」を設定しての対応や、住宅分野でのスギ材利用の拡大を推進する。花粉の少ない苗木の生産も拡大する。現状はスギ苗木の生産量の5割程度が花粉の少ない苗木だが、10年後には9割以上に引き上げることを目指す。林業の生産性向上などにも取り組む。