
オルタナ総研は9月3日、「B2B企業のCSR戦略セミナー」を開催した。B2B企業は直接市民やエンドユーザーと接する機会が少ない中で、いかにそのパイプを醸成し、企業価値を高めていけるような独自のCSR戦略が求められる。業界の中でも先進的な取り組みをしている3社が事例を発表した。(CSR monthly副編集長=篠永 憲生)
第1部では、先進企業3社が登壇し、自社の取り組みを発表した。登壇したのは、日本オラクル、伊藤忠商事、中越パルプ工業の担当者。
日本オラクルの川向緑コーポレート・シチズンシップ・プログラムマネージャーは、自社の社会貢献活動の投資先は、アメリカ、アフリカ、インドの3地域に絞っていると紹介。
投資先を選定する基準は、IT市場の伸び率だという。
日本は投資先に選ばれていないが、社員のボランティア活動を積極的に支援している。1企画につき、300ドルまで支援が出る。川向マネージャーは、社員のボランティア活動を後押ししてきた結果、「次は参加者ではなくイニシアティブを取るリーダー役をやりたい、という声も出てきた」と誇らしげに語った。
伊藤忠商事の小野博也広報部CSR・地球環境室長は「プレオーガニックコットン」のエピソードを紹介。総合商社である強みを生かして「プレオーガニック」をアパレル、スーパー、セレクトショップに売り込んだ。
「プレオーガニック」製品がエンドユーザーの共感を呼び、「ブランド」になったことで成功する。「寄付は寄付で終わってしまう。ビジネスにすれば、継続できる」と話した。
中越パルプ工業の西村修営業企画部長は1998年に始めた「竹紙」の取り組みを紹介。100%竹が原料の竹紙で、放置竹林の問題解決や、地域経済の活性化などに取り組む。
西村部長は、竹紙を、「誰でも社会を変えることができる実例」とする。「体裁を整えるのが本質ではない。企業活動を通じて、常に社会に良いことを実践することが重要」と語った。
第2部は登壇者によるパネルディスカッションと質疑応答が行われた。参加者からの、社内の共感や理解を得る方法や、CSR活動と経営をどう統合させていけばよいのかなどの質問に対し、活発な議論が行われた。