当団体では、2011年の5月から長和町と協力してゲレンデに植林し、森へ還す活動を始めている。なぜ植林をするかというと、国に返還するには「原状復帰」させることが必要なのだという。これを聞いたとき、「国有林も賃貸のアパートやマンションと同じなのか」とちょっと驚いた。
確かに考えてみれば、ゲレンデのような草地のままで返却されては国も困るのだろう。ゲレンデに草は生えているとは言え、皆伐した山と同じような状態だ。大雨による災害がないともいえない。しかし、スキー場のせいで、土砂災害が起こったという話は、自分が無知なだけかもしれないが聞いたことがない。

ともあれ、国へ返却するには木を植え、森に還さなければいけないというのが決まりらしい。そうしたわけで2011年から、当団体の市民ボランティア、町民、近隣の緑の少年団の子どもたち、東京農大の学生など様々な人びとが参加して植林を行った。2014年までに約7.4haのゲレンデ跡地に合計1万300本の苗(カラマツ7300本、ミズナラ3000本)を植え終えた。
さて「森にして返還する」場合の「森」とは、どのような状態を指すのだろう。お恥ずかしい話だが、当団体の人間も含め、誰も正確に承知していないのだ。おそらく今まで借り受けた国有林を返却するという事態がなかったのだろう。誰に聞いても特に決まりはないという。
森と認められるには、木を植えることが必要なのはわかっている。しかし、木が植えてあるだけでいいのか、それともある程度育っていないといけないのか、明快な答えが見つからない。それがわからなければ、今後の返還作業にも差し障る。
そこで昨年末に林野庁に質問のメールを送ってみた。しばらくしてお返事をいただくことができた。かいつまんで言うと、貸し付けしている国有林野の返還にあたっては、管轄している森林管理署長が災害の防止等のため必要と認める場合、緑化植栽等を借り受け者にお願いする。植栽等をお願いした場合、緑化植栽木の定着状況が良好と認められた後に返還を受けることとしている。
スキー場跡地など、緑化植栽木の生育状況を一定期間観察する必要があると認められる場合には、原則として緑化植栽木について借り受け者と瑕疵担保協定を締結した上で返還を受ける。質問の「森と認められる」基準とは、「森林管理署長が、緑化植栽木の生育が良好であり、土地の保全が図られ、災害発生の恐れがなくなった」と認める基準のことになる。