記事のポイント
- 脳内のマイクロ・ナノプラスチック濃度が、他の臓器より7~30倍高い結果に
- 研究者21人が、米国で死亡した91人の検体を分析し、科学雑誌で発表した
- 研究者らは拙速な解釈には注意すべきとしつつ、さらなる研究の必要性を指摘
米国やコロンビアの研究者21人が、米国で死亡した91人の検体を分析したところ、脳内のマイクロ・ナノプラスチック濃度が、肝臓や腎臓の濃度と比べて7~30倍ほど高く検出された。研究者らは、サンプル数が少ないため拙速な解釈には注意すべきであるとしつつ、さらなる研究の必要性を指摘した。(オルタナ編集部=松田 大輔)
米国やコロンビアの研究者21人は、1997年から2024年までに米国で亡くなった91人の検体を分析した。その結果、脳内のマイクロ・ナノプラスチック濃度が、肝臓や腎臓と比べて7~30倍ほど高く検出された。2月3日に科学雑誌「ネイチャー・メディスン」で発表した。
体内のマイクロ・ナノプラスチック濃度が増加傾向にあることも分かった。2024年など近年の検体からは、それ以前の検体よりも高い濃度が検出された。
最も多く検出されたプラスチックは「ポリエチレン」だった。ビニール袋や飲食物の包装に使用されているもので、検出されたプラスチック全体の75%を占めた。
プラごみから生じるマイクロ・ナノプラスチックは、食物や水、呼吸などを通して体内に取り込まれる。脳や肝臓、腎臓だけでなく、血液や精液、母乳、胎盤、骨髄からも発見されている。人体への影響については研究が続けられているものの、脳卒中や心臓発作に関連があるとされる。
研究者らは、サンプル数が少ないため拙速な解釈には注意すべきであるとしつつ、さらなる研究の必要性が浮き彫りになったと指摘した。