海面温度の上昇ペースは40年で4倍: 豪雨・豪雪リスク高まる

記事のポイント


  1. 世界の平均海面温度の上昇ペースは、過去40年で4倍に加速
  2. 1980年代後半は10年で0.06℃の上昇ペースだったが、今では10年で0.27℃に
  3. 海の温暖化は、海面上昇や豪雨・豪雪、生態系の破壊といったリスクに

英レディング大学の科学者3人は、世界の平均海面温度の上昇ペースが、過去40年で4倍に加速したと報告した。1980年代後半は10年間で0.06℃のペースだったが、今では10年で0.27℃のペースで上昇している。海の温暖化は、海面上昇や豪雨・豪雪、生態系の破壊といったリスクに直結する。(オルタナ編集部=松田 大輔)

英レディング大学の科学者3人は、世界の平均海面温度の上昇ペースが、過去40年で4倍に加速したと明らかにした。過去40年間の世界の海面温度の推移などを調べ、科学雑誌「環境研究レター」で報告した。

1980年代後半は、10年間で0.06℃のペースで海面の温暖化が進んでいた。今では10年で0.27℃のペースで上昇している。

研究をリードした英レディング大学のクリストファー・マーチャント教授は、「海面上昇や激甚化する台風など、長期的な影響はさらに懸念すべきものだ」と米ブルームバーグ誌に語った。海が温暖化すると豪雨・豪雪が発生しやすくなるとともに、サンゴの死滅や魚類の生息地変更など、海の生態系にも大きな影響を及ぼす。

国立研究開発法人国立環境研究所(茨城県つくば市)地球システム領域の荒巻能史・物質循環観測研究室長は、「過去40年に関していえば、海が温暖化しているのは確かだ。例えば、近年『海洋熱波』が注目を集めているが、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、その頻度が過去40年で2倍になった可能性が高いと報告している」と指摘した。

「このような一時的・局所的な熱波の影響が加わることで、世界の海面温度の上昇ペースが加速しているように見える可能性も少なからずあるだろう。いずれにしても、継続的な観測が重要だ」(荒巻室長)

気象庁によると、日本近海の平均海面水温の上昇率は、2023年までの100年間で1.28℃だった。世界では100年間で0.61℃だったため、日本近海ではおよそ2倍のペースで温度が上がっていることになる。日本近海で上昇率が高い理由としては、南方から温かい暖流が流れ込むことなどが影響しているとみられる。

日本近海の平均的な海面水温(年平均)の平年差の推移。青丸は各年の平年差、青線は5年間の移動平均値。赤線は長期的な傾向。平均値は1991年~2020年の30年間から(出所: 気象庁)
matsuda daisuke

松田 大輔

中央大学総合政策学部卒業。2021年から米国サンフランシスコで研究資料の営業マネジャーとして勤務。2024年に株式会社オルタナ入社。

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キーワード: #サステナビリティ

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