記事のポイント
- 2025年1月の世界平均気温は、1月として史上最高となり、産業革命前から1.75℃上昇した
- 欧州の気象情報機関であるコペルニクス気候変動サービス(C3S)が公表した
- ラニーニャ現象で気温が下がる見通しだっただけに、気候科学者らも驚く結果となった
欧州の気象情報機関であるコペルニクス気候変動サービス(C3S)は2月6日、2025年1月の世界平均気温が1月として史上最高記録を更新したことを発表した。それによると、先月の気温は、産業革命前の水準を1.75℃上回った。ラニーニャ現象の発生で一時的に地球の気温が低下する見通しだっただけに、気候科学者らも驚く結果となった。(オルタナ副編集長=北村佳代子)

データソース: ERA5. (C) C3S/ECMWF
2024年に世界の平均気温は、パリ協定で目標とする「1.5℃」を暦年で初めて上回った。
そして2025年1月の世界平均気温についても、欧州コペルニクスは、産業革命より前の水準を1.75℃上回り、史上最も暑い1月だったと発表した。2025年1月の平均気温は13.23℃となり、1991年から2020年の1月の平均気温に比べても0.79℃上回った。
コペルニクスのサマンサ・バージェス気候戦略リーダー氏は、「2025年1月も驚くべき月となった。過去2年間に観測された記録的な気温が続いた。熱帯太平洋でラニーニャ現象が発生し、一時的に地球の気温が低下したにもかかわらず最高気温を更新した」と言う。
気候科学者らは、2024年1月にエルニーニョ現象による温暖化がピークに達した後、気温が下がるラニーニャ現象に移行すれば、異常な気象現象は収まると予測していた。しかし、気温は記録的な水準で高止まりを続けており、予想を超える高い気温の原因について、科学者らで議論が巻き起こっている。
コペルニクスの気候科学者ジュリアン・ニコラス氏は、「私たちが予想していた(ラニーニャ現象への移行による)冷却効果や、異常な高温に一時的なブレーキがかかるといった現象がまったく見られない」とAFP通信に対しコメントした。
科学者らは、エルニーニョ現象やラニーニャ現象などの自然な気候の変動があることと、化石燃料の燃焼が長期的な地球温暖化を招いたことについては意見が一致している。