■「入倉氏は訴訟過程で反論せず」と弁護士
また、外部電源や非常用電源の耐震クラスをめぐっては、決定と田中氏の指摘との間に違いはなく、何をもって事実誤認としているのかが判然としない。さらに、決定文で引用された入倉孝次郎・京大名誉教授の発言は、2014年3月29日に愛媛新聞に掲載された、原発の耐震設計の目安となる「基準地震動」の評価をめぐる入倉氏の発言がそのまま引用されているに過ぎない。
入倉氏は15日付福井新聞で「原告が曲解して引用している」と批判。これに対して大飯・高浜原発仮処分弁護団の海渡雄一弁護士は17日、都内で開かれた集会で「愛媛新聞記事での入倉氏の発言は、他の原発訴訟でもわれわれが指摘し、国会質問でも取り上げられたものだ。その過程で入倉氏は何一つ反論しなかった」と述べた。
その上で海渡氏は「決定に引用された途端、『曲解だ』などと主張しているが、それは学者としていかがなものか」と入倉氏の対応を批判した。
「新規制基準は緩やかに過ぎる」とした今回の司法判断に対して、政府や関電は「事実誤認」と応じた。しかしそのような振る舞いは、二度と東電原発事故のような原発災害を起こしてはならないという国民の願いにかなっているだろうか。22日には九州電力川内原発1・2号機の運転差し止めをめぐる仮処分判断が示される。