記事のポイント
- 米EPA長官は気候変動対策の根拠となる調査結果を見直すように要請した
- 同長官はトランプ米大統領が起用した人物だ
- 同調査結果は自動車などに対する環境規制の法的根拠となっている
米環境保護庁(EPA)長官はこのほど、トランプ政権に対し、米国の気候変動対策の根拠となる政府の調査結果を見直すように要請した。米ワシントン紙などが報じた。同調査結果は、オバマ政権時代の2009年に公表したもので、自動車などに対する環境規制の法的根拠となっている。(オルタナ副編集長・吉田 広子)
■トランプ米大統領がEPA長官を起用
EPAは2009年、温室効果ガス(GHG)が公衆衛生と福祉に対する脅威となり、自動車からの複合排気ガスが気候変動の一員であると認定した。この調査結果は、自動車や発電所などに対する環境規制の法的根拠となっている。
リー・ゼルディンEPA長官は、トランプ米大統領が起用した人物だ。米ワシントン紙などの報道によると、ゼルディン長官は、大統領令に基づき、EPAの調査結果を書き直すよう求める報告書をホワイトハウスに提出したと見られる。
■2人の連邦判事が気候資金の拠出求める
トランプ大統領は、連邦政府機関に対し、2022年のインフレ抑制法と2021年の超党派インフラ法で承認された数十億ドルの気候・エネルギー補助金の支給を一時停止するよう命じた。さらに、ゼルディン長官がEPA職員の65%削減を検討しているという。
しかし、こうした圧力に対して、あらがう動きもある。2人の連邦判事は トランプ政権に対し、再び資金の流れを許可するよう命じた。ロードアイランド州の連邦判事は、意見書のなかで、「連邦資金の議会による支出に干渉するトランプ政権の行動は、『憲法の砦』を踏みにじる可能性がある」と述べた。