記事のポイント
- 神奈川県鎌倉市が国内7都市目の「フェアトレードタウン」に認定された
- フェアトレードタウンの認定基準は自治体による普及啓発など6個ある
- 欧州や米国を中心に2025自治体がフェアトレードタウン認定を受けている
一般社団法人日本フェアトレード・フォーラム(東京・渋谷)は3月14日、神奈川県鎌倉市をフェアトレードタウンとして認定した。フェアトレードタウンの認定基準は自治体や企業などによる普及啓発や地産地消の推進など6個ある。世界では2025自治体がフェアトレードタウンとして認定を受けているが、国内で認定を受けた自治体は鎌倉市で7都市目だ。(オルタナ副編集長=池田 真隆)
フェアトレードタウンとは、自治体や企業、市民が一体となってフェアトレードを推進する自治体を指す。2000年に英国の有志団体が始めた動きで、この動きに賛同した組織が各国で独自の認定基準を策定した。
世界で初めてフェアトレードタウンに認定されたのは、英国のガースタングで、欧州や米国を中心に2025自治体が認定を受けている。
日本の基準は一般社団法人日本フェアトレード・フォーラムが英国の基準を参考にして2011年に作った。その基準は6個ある。
自治体や企業、市民セクターそれぞれが協力してフェアトレードの普及に取り組むことや学校などでのフェアトレード産品の導入、地産地消や障がい者支援などのコミュニティー活動との連携などだ。
■熊本県熊本市が2011年に日本初の認定都市に
熊本県熊本市が2011年に日本で初めて認定を受けた。その後、愛知県名古屋市、神奈川県逗子市、静岡県浜松市、北海道札幌市、三重県いなべ市が認定された。神奈川県鎌倉市は国内7都市目だ。
鎌倉市の特徴は市民セクターが普及を後押ししたことだ。有志の市民が集まって2023年5月にフェアトレードタウン推進組織「鎌倉エシカルラボ」を立ち上げた。この組織が中心になって、フェアトレードタウン認定の取得を目指した。
鎌倉エシカルラボの末吉里花・共同代表は、「多様な市民活動が活発な鎌倉市だからこそ、これを機にさまざまな主体と繋がり、地域活性化への貢献にも資する動きを作っていきたい」と話した。同じく共同代表の稲葉哲治さんは、「日々の暮らしを豊かにし続ける、フェアな共生共創コミュニティーをつくりたい」と意気込みを語った。
■鎌倉市長「一人の100歩より、100人の一歩が世界を変える」
鎌倉市としては、2024年10月2日に鎌倉市議会において、「フェアトレードの取組を広げる決議について」を採択した。地域活性化を通して、フェアトレード産品の販売や、地域イベントでの啓発活動などを行ってきた。自治体が市民の自主的な活動を支える基盤を作った。
鎌倉市の松尾崇・市長は、「一人の100歩より、100人の一歩が世界を変えると信じ、認定をきっかけに、より一層、市民、企業と連携しながら、市内外に向けてフェアトレード、エシカル消費の発信を積極的に行っていきたい」と話した。