記事のポイント
- ILOはこのほど、ビジネスと人権に関するラウンドテーブルを開いた
- 企業・投資家・労働組合・ILOの各担当者が参加し、意見交換を行った
- 人権デューディリジェンスの実証など3つの悩みが浮き彫りになった
国際労働機関(ILO)はこのほど、「ビジネスと人権」に関するラウンドテーブルを都内で開いた。事業会社、投資家、労働組合に加えて、ILOの担当者が一堂に会し、ビジネスと人権を推進するためにどう協業できるのか、2時間に渡り話し合った。人権デューディリジェンスの実証など、それぞれの立場で直面する3つの悩みを紹介する。(オルタナ副編集長=池田 真隆)
日本で「ビジネスと人権に関する行動計画(NAP)」が策定されて4年が経過した。経済産業省「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」の作成などをきっかけに、ビジネスと人権の概念は民間企業に浸透しつつある。
しかし、人権分野においては、構造的な課題も多く、企業単独での解決は難しい。各ステークホルダーが協働することが求められる。
こうした課題認識の元、国際労働機関(ILO)は、食品水産業、商社、機関投資家を対象にビジネスと人権の啓発に取り組む。このほど、食品水産業、商社、機関投資家に加えて、労働組合とILOが一堂に会して、マルチステークホルダー型のラウンドテーブルを都内で開いた。「ビジネスと人権」に関して直面する課題をそれぞれの立場から話し合った。
ラウンドテーブルは、発言者の所属や氏名を明らかにしないチャタムハウスルールで実施した。当日交わされた議論の内容から、各担当者が抱える「3つの悩み」を紹介する。
■人権課題、「是正できて当たり前」ではない
■投資家「ゼロリスク証明より透明な開示を」
■投資する側の「想像力」と「見識」が問われる
■「リスクを未然に防いだ」ことの意義と評価
■「人権への対応はコストではない」