記事のポイント
- 2024年米国では再エネ発電が初めて石炭を上回った
- 電力需要が増えた中で、太陽光発電は前年比27%増と最も増えた
- フロリダ州をはじめ全米24州で再エネ発電が石炭を上回った
英シンクタンクによると、2024年、米国では再エネ発電比率が全体の17%となり、初めて石炭を上回った。米国内の電力需要が3%伸びる中、太陽光発電は前年比で27%増加し、風力も7%の増加となった。共和党支持の傾向が強いフロリダ州などの赤い州も含め、全米24州で、再エネ発電が石炭を上回った。(オルタナ副編集長=北村佳代子)

EMBER社「US Electricity 2025 – Special Report」より
(グレーの線は、上からガス、原子力、水力、その他)
環境・エネルギー分野のシンクタンクであるエンバーは3月12日、米国の電力に関する最新レポートを発表した。それによると2024年の米国の電力供給は、再エネが初めて石炭を上回り17%に拡大した。石炭は、過去最低の15%に落ち込んだ。
最も急速に成長したのは太陽光発電で、前年から27%増となり、風力発電がそれに続いて同7%増となった。米国最大の電力源である天然ガスは前年から3.3%増加し、電力構成の43%を占めた。
エンバーのチーフアナリストであるデイブ・ジョーンズ氏は、「新たなパラダイムに突入した」と米ウォール・ストリート・ジャーナル紙にコメントした。
「電力需要が高まる中で、太陽光が天然ガスよりも大きな役割を果たした。米国では現状、天然ガス発電所の建設を議論しているが、そうした動きや今後の予測に相反する実績となった」(ジョーンズ氏)
■全24州で再エネが石炭を上回った
再エネ比率が石炭を上回っている州は、以下の24州だ。
オレゴン州(2009年)、メイン州(2009年)、ワシントン州(2011年)、サウスダコタ州(2011年)、ニューヨーク州(2015年)、ニュージャージー州(2015年)、オクラホマ州(2016年)、ニューハンプシャー州(2016年)、ネバダ州(2016年)、マサチューセッツ州(2016年)、コネチカット州(2016年)、ハワイ州(2017年)、カンザス州(2019年)、アイオワ州(2019年)、デラウェア州(2019年)、テキサス州(2020年)、バージニア州(2021年)、ニューメキシコ州(2021年)、ミネソタ州(2022年)、メリーランド州(2023年)、フロリダ州(2023年)、コロラド州(2023年)、アリゾナ州(2023年)、イリノイ州(2024年)
■太陽光発電が3割を超える州も
■排出削減に立ちはだかる電力需要増の動き
■電力需要増に見合うクリーンエネルギー拡大へ