底引き漁禁止へ向けた動き、欧州で相次ぐ

オルタナ80号「漁業トピックス」52

欧州で、底引き網漁の禁止に向けた動きが相次いでいる。

フランスでは2月、環境NGOや漁師がエマニュエル・マクロン大統領とEUのコスタス・カディス水産・海洋担当委員に書簡を送った。同書筒は欧州における底引き網漁の段階的廃止と、環境負荷の少ない漁業への移行を促す規制強化を求める。

ギリシャは2024年4月に2030年までの海洋保護区での全面禁止を打ち出し、スウェーデンとデンマークも禁止を表明した。

底引き網漁は魚網を海底で引きずり、魚を獲る漁法だ。世界の漁獲量の4分の1以上を占めるが、魚網が海底を削ることでそこに蓄えられた炭素を放出し、気候変動の要因として問題視される。

米国の科学者らが学術誌「フロンティアズ・イン・マリン・サイエンス」に寄稿した報告書によると、底引き網漁によって排出されるCO2は毎年最大3億7000万トンにのぼる。同報告書は排出量が多い海域として東シナ海、バルト海、北海、グリーンランド海をあげる。

日本沿岸の太平洋や南シナ海では、実際に行われている底引き漁から予想される以上の排出量を確認した。他の海域からCO2が流入してきた可能性が高いという。国の管轄水域内の排出量の全てが、その海域内の底引き網によるものであるとは限らず、国や地域を超えた対策が求められる。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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キーワード: #オルタナ80号

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