記事のポイント
- 大阪高裁は25日、地裁判決を覆し、同性婚を認めない法律を違憲と判断した
- 同様の訴訟では違憲判断が相次ぎ、大阪高裁の判断が注目されていた
- 弁護団は、「国会は速やかに立法に取り組むべきだ」と指摘した
大阪高裁は3月25日、同性婚を認めない民法や戸籍法を「違憲」と判断し、3年前の一審判決を覆した。これで、東京・札幌・福岡・名古屋高裁に続き、違憲判決が出そろった。弁護団の三輪晃義弁護士は、「国会は速やかに立法に取り組むべきだ」と指摘した。(オルタナ編集部=松田 大輔)

京都府や香川県などの同性カップル3組は、同性婚を認めない民法や戸籍法の規定は憲法に違反するとして、国に計600万円の賠償を求める訴訟を起こしていた。
大阪高裁は3月25日、同性婚を認めない法律は違憲であると判断した。憲法14条1項「法の下の平等」と、24条2項「個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚した立法」に反しているとの判断だ。賠償請求は棄却した。
大阪地裁は22年6月、同性婚を認めない法律は合憲であるとの判断を示していた。その後、東京高裁や札幌高裁で違憲判決が相次ぎ、今回の判決では、3年前の大阪地裁の判決が覆るのかに注目が集まっていた。
性的マイノリティの問題に取り組む関西訴訟弁護団の三輪晃義弁護士は、「婚姻制度は生殖とは切り離された制度であることを明言したことは画期的だった」と話す。
合憲とした大阪地裁では、婚姻を異性間に限定することは、「男女が子を産み育てる関係を守る合理性」があるとした。しかし、今回、婚姻と生殖を切り離して捉えたことで、同性婚を認めない現在の法律は違憲であるとの判断につながった。
三輪弁護士によると、判決は「性的マイノリティのために婚姻以外の別の制度を設けることは、新たな差別を生み出すものだ」という見解も示した。原告の一人である田中昭全さんは、「同性婚の制度がないこと自体が新たな差別を生むという言葉に感動した」と話した。
三輪弁護士は、「今回の判決は、婚姻制度を同性カップルに開かなければならないことを示した。国会に対する強いメッセージが含まれているものだ。国会議員の『注視する』という言葉は聞き飽きた。国会は速やかに立法に取り組むべきだ」とした。
原告の坂田テレサさんは、「(22年の大阪地裁では合憲判決が出て)声が届かなかったと落ち込んだこともあったが、それが届いたのだという喜びが強い」と語った。