
■雑誌オルタナ80号:日本農業 常識と非常識の間(58)
農林水産省は3月3日、備蓄米の入札を3月10日から実施すると公表した。初回は予定の21万㌧のうち15万㌧を放出するという。
この入札を巡る報道で分からないことがある。報道によると、「入札」は「最も高い価格を提示した業者から順番に落札する仕組み」だが、今、問題になっているのはコメの価格の高さだ。
さらに「買い」の高さを競う入札方式で、コメの市中価格は本当に下がるのだろうか。何ともよく分からない対応だ。
今回の問題を整理してみる。
❶コメの小売価格が平均的に4千円以上/5㌔㌘で、2024年までの倍以上と高値になっている。
❷23年よりコメの収穫量は多いと言われながら、小売価格が24年の倍になっている。ちなみに産地価格もかなり早い時期(収穫前)からさまざまな買い手が現れ、23年の倍以上の価格を提示されたという。
例えば、これまで1万5千円前後/ 1俵(60㌔㌘) だったのが、2万5千円を超えた。後半になると③万円、場合によっては4万円を超える価格が提示されている。
❸政府は「消えた21万㌧」があると説明する。23年までJAが買っていた量に対して、24年は、今までとは違う倍ほどの高い値段で買う業者が現れ、JAが買い負けしたといわれている数量で、どこかに保管されている。
その消えた分を市中に放出すれば価格が下がるという話だが、それほど単純な話であろうか。
■コメの価格は上がり続ける