■雑誌オルタナ80号:論考・サーキュラーエコノミー(27)

国際プラスチック条約について議論する第5回政府間会合が2024年12月に釜山で行われたが、削減目標の合意には至らなかった。各国で事情が異なり、削減量について目標設定することが難しかったようだ。
国によって生産スタイル、消費スタイル、文化風習などが異なるから、どのような種類のプラスチックをどのように生産し利用するかなどについて、考え方が異なることは想像がつく。プラスチックは使うときには便利だが、使用済の段階でさまざまな環境負荷が生じる。この比較評価が各国で異なるというわけだ。
例えばポリスチレン(PS)を取り上げてみよう。PSは今、世界の嫌われ者である。リサイクルが難しいということで、ニュージーランドでは、使い捨てPS容器類が製造・販売禁止となった。同様の理由でフランスでも使い捨てPS容器類の使用禁止が検討課題となっている。
禁止措置は30年まで延期されたものの、EUのプラスチック規制に合わせてやがては規制の対象になるとみられている。
翻って日本はどうだろう。PS容器は日常生活に欠かせない。食品を保存するのにPS容器は便利だ。PSトレイがなかったら、スーパーなどで鮮魚や刺身をどうやって提供するか困るだろう。水産業者も魚箱の素材としてPSは欠かせない。鮮度が命の商品を保存・輸送するのにPSは非常に有り難い素材なのだ。
■リサイクルと福祉つなぐ