記事のポイント
- 三井住友信託銀がNZBAから現時点では脱退を考えていないことが明らかに
- NZBAは50年にGHG排出量実質ゼロを目指す金融機関による国際的枠組み
- 日本の金融機関は6行が加盟しているが脱退が相次いでいた
三井住友信託銀行が国連主導のイニシアティブ「ネットゼロ銀行同盟(NZBA)」から現時点では脱退しない方針を持っていることが明らかになった。同行の親会社である三井住友トラストグループの広報担当者は、オルタナ編集部の取材に「3月28日時点で脱退について決まっていることはない」と答えた。NZBAはネットゼロを目指す金融機関による国際的枠組みで、日本の金融機関の脱退が相次いでいた。(オルタナ副編集長=池田 真隆)
NZBAは「ネットゼロ・バンキング・アライアンス」という名称の国際イニシアティブだ。パリ協定で定めた「1.5℃目標」の達成を目指すため、国連が立ち上げた。
NZBAには、44カ国・地域の130金融機関が参加する。米国では共和党議員を中心にNZBAに基づく活動が反トラスト法違反との見方が高まる。訴訟リスクを懸念し、同国ではNZBAから脱退する金融機関が増えている。2024年12月に、シティグループとバンク・オブ・アメリカ、ゴールドマン、ウェルズ・ファーゴが相次ぎ脱退し、2025年1月7日にはモルガン・スタンレーも脱退を表明した。
日本の金融機関は6行が参加していたが、三井住友フィナンシャルグループ、野村ホールディングス、三菱UFJフィナンシャル・グループ、農林中央金庫の4行が脱退した。残っているのは、三井住友信託銀とみずほフィナンシャルグループの2行だった。
■「現時点で脱退について決まっていることはない」
三井住友トラストグループの広報担当者は、「他社の脱退にかかる状況等は認識しているが、当社においては現時点(3月28日)で脱退について決まっていることはない」と答えた。
「当グループでは、子会社も含め、NZBA、NZAM(資産運用会社の国際枠組み「ネットゼロ・アセットマネジャーズ・イニシアチブ」)、いずれにも加入している状況にあるが、当グループのお客様である国内外のアセットオーナーの考え方も理解しながら行動することが重要だと考えている。しかし、こうしたアライアンスの参加の有無にかかわらず、気候変動対応の重要性は変わらず、引き続き脱炭素化を目指して活動していく」(広報担当者)