記事のポイント
- SAF需要が高まる一方で、供給量の確保が課題となっている
- コスモ石油は、年間3万klの国産SAFを生産する見込みだ
- フィンエアーと米デルタ航空が同社と売買契約を結び、調達を進める
フィンエアー(本社フィンランド・ヴァンター)と米デルタ航空(本社米国アトランタ)はこのほど、コスモ石油マーケティング(東京・港)とSAF(持続可能な航空燃料)の売買契約を締結した。コスモ石油は、国内で廃食油を回収し、年間3万キロリットルのSAFを生産する見込みだ。脱炭素化に向けて、航空業界のSAF需要が高まる一方で、供給量の確保が課題となっている。(オルタナ輪番編集長・吉田 広子)

SAFは、廃食油や微細藻類、木くず、古紙など、さまざまな原料から生産できる。従来の化石燃料に比べて、CO2排出量を8割削減できることから、脱炭素化のカギを握る。
国際航空運送協会(IATA)は、2050年に航空輸送分野でネットゼロを達成するには、SAFが年間約4.5億キロリットル必要だと推計している。しかし、SAFの生産量は年々増加しているものの、2024 年の生産量は世界で125万キロリットルにとどまる。
EUでは、燃料供給事業者に対し、域内で供給するジェット燃料に一定比率以上のSAFを使用することを義務付けた。比率は段階的に引き上げられ、2025年には2%、2035年には20%、2050年には70%まで拡大する予定だ。
日本政府も、燃料供給事業者に対し、SAF供給を義務化する方針を示す。2030年度までに、国内航空会社が使用する燃料の10%をSAFに置き換える目標を掲げる。
コスモ石油は2025年1月、製造プラントの試運転を開始した。100%廃食用油を原料とする年間3万キロリットルの国産SAFを生産する予定で、日本で初めての大規模SAF生産だという。同社は、廃食用油由来バイオディーゼル燃料を製造するレボインターナショナル(京都市)と提携し、国内で廃食油の回収を進める。
フィンエアーとデルタ航空は、「2050年カーボンニュートラル」を目指し、それぞれSAFの調達を進めている。両社は、国内発着便の燃料として、コスモ石油マーケティングから国産SAFを調達する。