EC梱包をシェアバッグへ、リユース10回で85%のCO2削減に

記事のポイント


  1. EC配送時の梱包を、段ボールからシェアバッグに変えるサービスが広がる
  2. 購入者に必要な作業は、梱包に使われたバッグを郵便ポストに返却するだけ
  3. 10回のリユースで、段ボールを利用したときと比べて85%のCO2削減に

ネット通販の配送時の梱包を、段ボールから「シェアバッグ」に変えるサービスが広がりを見せている。購入者に必要な作業は、梱包に使われたバッグを郵便ポストに返却するだけだ。10回のリユースで、段ボールを利用したときと比べて85%のCO2削減につながる。(オルタナ編集部=松田 大輔)

物流課題に取り組むベンチャー企業・comvey(コンベイ、東京・中央)は、ネット通販の配送時の梱包材を、段ボールから「シェアバッグ」に変えるサービスを提供する。これまで廃棄されてきた梱包材のリユースの普及を目指す。

同社は23年5月にサービスを始め、25年4月時点で20以上のネット通販で導入されている。そのうち約7割がアパレル関連で、コスメやジュエリー、雑貨など様々なブランドでも利用可能だ。

コンベイのサービスを導入したネット通販サイトでは、購入者は梱包方法を段ボールにするかシェアバッグにするかを選択できる。「シェアバッグ」を選択すると、1回の配送につきおよそ250円を購入者が負担する。しかし、バッグを返却することで、250円以上のクーポンが購入者に戻ってくる仕組みだ。

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購入者がシェアバッグを返却するには、折りたたんで郵便ポストに投函するだけで良い。

折りたたんで郵便ポストに返却するだけ

コンベイは、バッグにあらかじめ付与したQRコードで「シェアバッグ」を追跡し、返却状況やリユース回数を管理する。返却されたバッグには、必要なクリーニングや修繕を施し、再びネット通販の事業者に提供する。

利用者へのアンケートでは、90%が「ゴミ出しの手間が省けた」と回答した。ほかにも「環境負荷低減に貢献できた(83%)」、「シェアバッグを導入したブランドに好感を感じた(77%)」との感想が多く、顧客のロイヤリティ向上に効果が見られたという。

環境への貢献効果も高い。同社の梶田伸吾代表取締役CEOは、「段ボールはリサイクル率が90%に上るものの、製造や輸送、回収過程で発生するCO2は年間700万トン以上だ。シェアバッグに切り替えれば、従来の段ボール梱包と比べて、10回のリユースで85%以上のCO2排出量を削減できる」と語る。

ライフサイクルアセスメント(LCA)で算出したシェアバッグのCO2削減効果。使えば使うほど削減効果は高まる

バッグには、100回以上の配送で使い続けられる耐久性をもたせた。リユースに回せなくなったシェアバッグは、素材の95%以上を水平リサイクルして、再びバッグの材料として活用する。

梶田代表は、「今は段ボールの梱包が当たり前だが、5年後、10年後には、梱包材をリユースすることが当たり前になる文化を作りたい」と意気込みを語った。

matsuda daisuke

松田 大輔(オルタナ編集部)

中央大学総合政策学部卒業。2021年から米国サンフランシスコで研究資料の営業マネジャーとして勤務。2024年に株式会社オルタナ入社。

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キーワード: #脱炭素

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