統合報告書レビュー(40):SGホールディングスグループ

記事のポイント


  1. SGホールディングスは、「SGH防災サポート財団」を設立した
  2. 2025年4月、内閣府と「プッシュ型支援物資に関する業務連携協定」を締結した
  3. 同社の物流拠点に支援物資を保管・管理し、災害時に輸送する

SGホールディングスは「SGH防災サポート財団」を設立し、2025年4月には内閣府と「プッシュ型支援物資に関する業務連携協定」を締結しました。佐川急便グループの拠点で、支援物資を保管・管理し、災害時に物資の搬出・輸送の手配を行い、地域社会に貢献します。(オルタナ総研フェロー=室井孝之)

SGホールディングスグループは統合報告書2024の中で、長期ビジョン「Grow the new Story. 新しい物流で、新しい社会を、共に育む」を掲げています。

さらに、「長期ビジョンにおいては、自社の力だけではなく業種業界に囚われない多様なパートナーと力を合わせて、物流ソリューションの提供を通じ、未来につながる価値の創出、社会課題解決を可能とする新たな成長ストーリーを共に育んでまいります」と述べています。

同グループは阪神・淡路大震災以降、佐川急便を中心に災害支援を行ってきた経験を基に、災害に備えた政府・自治体と民間企業との連携強化を進めており、防災・減災の取り組みを促進し、それをサステナブルなものにしていく必要性を認識しています。

災害時の政府との連携も進めます。迅速な物資支援体制を強化することを目的とした「一般財団法人SGH防災サポート財団」を設立。2025年4月には内閣府と「プッシュ型支援物資に関する業務連携協定」を締結しました。

同グループは事業環境の変化を、災害の激甚化、インフラ老朽化を見据えた BCP関連物流の需要拡大と捉え、価値創造を「ライフラインとして地域社会に貢献」と定めています。

具体的には、「災害や疫病などの、緊急事態への対応」として、「指定公共機関としての役割を果たし、 支援物資の輸送・保管・管理までをトータルサポート」することであり、「持続可能な社会貢献モデルの構築」です。

内閣府では、政府が行うプッシュ型支援物資のうち、段ボールベッドなどのように調達に一定の時間を要するものや、キッチン設備や入浴支援設備などの特注品は、発災直後に必要量を市場調達するのは困難であるため、分散備蓄することとしています。これらの分散備蓄品を、同財団の拠点において、保管・管理するとともに、災害時の物資の搬出・輸送の手配を行います。
 
同グループは、「SAGAWAタウンサポート」として、佐川急便が物流事業者として培ってきたノウハウを生かし、官民一体となり地域社会の課題を解決様々な支援・サービスを展開しています。今後は更に、ライフラインとして地域社会に貢献する「持続可能な社会貢献モデル構築」を実践し、開示されたらいかがでしょうか。  

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室井 孝之 (オルタナ総研フェロー)

42年勤務したアミノ酸・食品メーカーでは、CSR・人事・労務・総務・監査・物流・広報・法人運営などに従事。CSRでは、組織浸透、DJSIなどのESG投資指標や東北復興応援を担当した。2014年、日本食品業界初のダウ・ジョーンズ・ワールド・インデックス選定時にはプロジェクト・リーダーを務めた。2017年12月から現職。オルタナ総研では、サステナビリティ全般のコンサルティングを担当。オルタナ・オンラインへの提稿にも努めている。執筆記事一覧

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