記事のポイント
- 環境省は最新版のGHG算定ガイドを3月末に公表した
- スコープ3の算定については一次データの活用を推奨した
- だが、一次データの入手はハードルが高い。どう活用すべきか
オルタナは4月24日、SBL(サステナブル・ビジネス・リーグ)オンラインセミナーを開いた。ゲストに環境省の担当官を迎え、サプライチェーンの温室効果ガス(GHG)排出量を減らすために、一次データをどう活用するのか議論した。「スコープ3」に該当するサプライチェーンのGHG排出量を減らすには、一次データで算定しないといけないが、サプライヤーから一次データを入手することはハードルが高い。(オルタナ輪番編集長=池田 真隆)

環境省は3月31日、一次データを活用したサプライチェーンのGHG排出量算定に関するガイドラインを公開した。これまでは、2022年3月に公開した改訂版が最新だったが、3年ぶりに改訂した。
新ガイドラインの最大の特徴は、GHG算定について一次データを推奨した点にある。新ガイドラインでは、製品ベースの算定を最も精緻な一次データでの算定と位置付けた。
サプライチェーン排出量はGHGプロトコルが「スコープ3」と位置づける領域で、自社以外の排出量を指す。サプライヤーから一次データを入手することは難しく、二次データで算定する企業が多いのが実情だ。


だが、二次データではサプライヤーの削減努力が正確に反映されない問題があった。サプライチェーンのGHG排出量を減らすには一次データを使うしかない。しかし、サプライヤーをどこまで遡ればいいのか指針がないため、企業としては一次データでの算定に二の足を踏んでいた。
そこで、環境省では新ガイドラインを策定し、一次データを活用する指針を示した。オルタナでは、この新ガイドラインの策定を担当した、環境省の杉井威夫・地球温暖化対策課脱炭素ビジネス推進室長をSBLセミナーのゲストに招いた。
杉井室長は、一次データの活用を打ち出した経緯、何をもって一次データと呼ぶのか、算定の質、第三者保証の有無などを説明した。