令和のコメ騒動を私たちは未来に活かせるか

記事のポイント


  1. 冷夏が原因だった「平成のコメ騒動」に対し、「令和のコメ騒動」は人為的要因で起こった
  2. 農業の現場は高齢化し、疲弊し、担い手不足が進んでおり、国も理解しきれていなかった
  3. 農業のDXも含め、「令和のコメ騒動」を農業の未来に向けて活かせるかが試されている

30年前の「平成のコメ騒動」の原因が冷夏だったのに対し、「令和のコメ騒動」を引き起こしたのは人為的要因だった。私たちが思っているよりも農業の現場は高齢化し、疲弊し、担い手不足が進んでいる。農業のDXも含め、「令和のコメ騒動」を日本農業の未来に向けて活かせるかが試されている。(オルタナ総研所長=町井 則雄)

昨年から続いている「令和のコメ騒動」だが、40代以上の方であれば、「平成のコメ騒動」のことを思い出す方もおられるだろう。

30年前、平成5年(1993年)の記録的な冷夏によってもたらされたコメ不足は、買い物客がお店に長い列をつくるなど今回よりも国民のパニック度合いは大きい騒動だった。

平成と令和のコメ騒動は、どちらもコメが市場から無くなったという点で共通している。しかし、その原因の本質と深刻さが全く違っている点に注意が必要だ。

平成のコメ騒動が冷夏という「自然的要因」によって引き起こされた一過性の課題だったのに対し、令和のコメ騒動は「人為的要因」によって起こっている恒久的な課題だ。

政府がコメは足りているのだと言い続けた背景も実はここに起因している。なぜならコメの出来高を計る目安である「作況指数」は平年並みであり、これまでの指数から市場予測を判断するのであれば、「コメは不足していない」という政府の見解は的外れではなかったからだ。

にもかかわらず、どうしてコメ不足は続いているのか。これについては有識者や報道が様々な角度から詳細に分析しているが、地方創生関連の事業に関わり、現場と接点を持っている身として感じるのは日本の農業は私たちが思っている以上に高齢化し、疲弊し、担い手不足が進んでいるという現実だ。そして、その事実を国も総体としてまともに理解していなかったという怖さだ。

(この続きは)
■30年前以上から予測されていた危機
■「コメは安くなってはいけない」
■農家の献身や我慢が支えてきた
■令和のコメ騒動を未来に活かせるか

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町井 則雄(オルタナ総研所長)

株式会社シンカ 代表取締役社長/一般財団法人 22世紀に残すもの 理事長/ 株式会社オルタナ オルタナ総研所長/岩手町政策アドバイザー など 1993年日本財団に入会。「日本財団図書館」・「日本財団公益コミュニティサイト『CANPAN(カンパン)』」の企画・開発を行うと共に、企業のCSRの取り組みを可視化するデータベース「CANPAN CSRプラス」の企画・開発に携わる。「世界を変えるデザイン展」、「未来を変えるデザイン展」の企画・総合プロデューサー。日本財団を2016年9月に退職、企業の社会課題解決型ビジネス創出のサポートやCSR支援を行うため株式会社sinKA(シンカ)を立ち上げ、現在に至る。経産省 地域新成長産業創出促進事業審査委員、内閣府「新しい公共推進会議」情報開示・発信基盤に関するワーキング・グループ委員、G4マルチステークホルダー委員会委員、CSR検定委員会 委員等を歴任。著書(共著) 「CSR検定テキスト」 、「企業と震災(木楽舎刊)」 など。

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キーワード: #サステナビリティ

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