子どもたちに化学の出前授業を行うことは、化学メーカーであるエボニックグループにとって強みを生かせるだけでなく、化学の楽しさを伝え、興味を持つ子どもを増やすためにも、重要な社会貢献である。

東京に比べ外国人に触れる機会の少ない宮城県に、ドイツ企業であるエボニックグループの外国人職員が訪れることで、海外に興味を持つ子どもも増えるなど思いがけない影響もある。
エボニックグループは東松島市でこのような復興支援を行ってきたが、一体なぜサッカースタジアムで花束の贈呈を受けたのか。実は、同社は、ドルトムントのメインスポンサーなのだ。
そして、矢本東保育所の再建費は、東日本大震災の直後に開催されたチャリティーマッチの収益金を元にした。このチャリティーマッチは、欧州サッカーチームに所属する日本人選手とボルシア・ドルトムントが対戦したもの。発起人は香川選手で、同社と東松島の橋渡し役となった。
この再建のお礼のため、ボルシア・ドルトムントのアジアツアーにあわせ、安部秀保東松島市長と矢本東保育所の園児2人が来場した。花束を受けとったのは、ボルシア・ドルトムントのハンス・ヨアヒム・ヴァツケCEO、エボニックジャパンのヴォルフガング・カスター社長、セーブザ・チルドレン・ジャパンの千賀邦夫事務局長。
保育所の支援を開始した当時のエボニックジャパンのウルリッヒ・ジーラー前社長は、ドイツを代表する港町ハンブルクの出身。幼いころ海外から来航する大きな船を見て、大きくなったら海外で仕事をしてみたいと夢を描いた。
日本以外にも世界各地で働くという夢を叶えたことで、幼少期に抱いた興味や夢が、子どもたちのその後の人生に大きな影響を与えることを実感し、積極的に保育所を訪問し支援を続けた。
最初はCSRについて理解を得られなかった社員も、この出前授業に講師として派遣されることで、化学のおもしろさに目を輝かせる子どもたちと触れあい、自分たちの活動の意義を感じることができている。