世界中から2000人以上のサステナビリティ界のリーダーやプロフェッショナルが集い、毎年6月にカリフォルニア州サンディエゴで開催されるサステナブル・ブランズ会議。開催地が深刻な旱魃にあえぐ中で行われた今年の会議は、世界が瀕するさまざまな危機的状況をふまえた、スケールの大きな議論になった。(カリフォルニア州サクラメント=藤美保代)
■現実となってきた「90億人」の世界

90億――。現在70億人といわれる世界の人口が、2050年に達すると予測される水準である。今回の会議で、いよいよ目前に迫って来た「地球の限界」を象徴する数字として、プレゼンターたちが繰り返し口にした。
我々は「90億人もの人がひしめきあって住む、ほぼ持続不可能な世界」に向かう、劇的な変化のとば口にいる。そして変化の脅威はすでに、異常気象による災害、高騰を続ける食料や金属などの資源、あるいは世界各地で危機に瀕する水資源などの形で顕在化し始めている。
それらの脅威が90億人の世界へ向かって加速していくのみならず、メガシティといわれる人口1000万人以上の都市への人口の劇的な流入が起こり、様々な膠着状態を引き起こすとも予測される。一方で、中国とインドという膨大な人口を抱える二つの国の急激な成長によって、新たな中間層が爆発的に増え、資源への需要はいっそう激しく圧迫されると考えられる。
それが70億人から90億人の世界への変化のリスクであるということを察知した企業たちにとって、サステナビリティはもはや「企業活動の一環としての社会貢献」ではない。むしろ、不確実で脅威に満ちた「70億人から90億人」時代を、リーダーとして勝ち抜くための道標である。
■グローバル企業の回答