グローバル企業や各国の地元企業が「サステナビリティ(持続可能性)とビジネス」について話し合う「サステナブル・ブランド」(SB)国際会議が10月12~13日、マレーシアの首都クアラルンプールで開かれた。ユニリーバやコカ・コーラ、キンバリーなどのグローバル企業のほか、マレーシアの企業関係者など約300人が集まり、温暖化対策や熱帯雨林保護など喫緊の社会的課題についてプレゼンしたり討議したりした。(オルタナ編集長=森 摂)

「サステナブル・ブランド」国際会議は2006年から、米サステナブル・ライフ・メディア社(コーアン・スカジニアCEO)が毎年、米カリフォルニア州で開催している。
今では米国のほか、ロンドン(英国)、バルセロナ(スペイン)、コペンハーゲン(デンマーク)、リオデジャネイロ(ブラジル)など世界10カ所以上で開かれる。2017年には日本での開催も予定している。
スカジニアCEOは12日、「持続可能性を再定義する」「ビジネスモデルをデザインし直す」「従業員を巻き込む」など「サステナブルなブランドを築くための7つのアイデア」と題し、基調講演した。持続可能性の再定義については、「持続可能性とは何かを顧客と共通認識を築くことが重要」と指摘した。
このほか、グーグル、ユニリーバ、コカ・コーラ、イケアなどグローバル企業のサステナビリティ担当者や、「フォーラム・フォー・ザ・フューチャー」などNGOの代表らがプレゼンテーションした。
キンバリー・クラーク(アジア・パシフィック)のクリス・メッサー氏(サステナビリティ・ビジネス担当)は「2004年に環境保護団体グリーンピースから『ティッシュひと箱を作るために伐採した森を復活させるには90年掛かる』と批判されたことを契機に当社の社会的な活動が始まった」と説明した。
その後、批判から逃げることなくグリーンピースと話し合いを続け、2009年にグリーンピースと協定を締結。「サステナブルな木材資源調達を進めるなどして、環境へのインパクトを半分にできた」という。
最近、インドネシアの森林伐採に伴う焼畑による煙がシンガポールやマレーシアに達して問題になっている「ヘイズ」(煙害)問題については「地域や他企業と共同して煙害の低減に取り組んでいる」とした。
最後に「サステナビリティは投資である」「一社で取り組むな(他者との協働を)」「本質的であれ」と聴衆に訴えかけた。
ユニリーバのデビッド・キウ副社長(サステナブル・ビジネス担当)は、CSRの取り組みとして世界的に有名な「サステナブル・リビング」のコンセプトを説明し、「ブランドビジネスはその社会的な目標が明確であるほど、サステナビリティと利益を両立できる」と強調した。
特に「消費者とのエンゲージメント(長期的な関係性の構築)が重要だ」とし、「ユニリーバのサステナブル・リビング構想は、すでに当社の中で(傍流の考えではなく)主流になりつつある」と明言した。
一連の会議では「サステナビリティやCSRの取り組みは、社会やNGOからの批判に対する申し訳や横並び意識でやるのではなく、自社の競争力を高め、ブランド価値を高めるためのもの」という共通認識を参加者の間で改めて確認していた。