「エコシステム」が生み出すカリスマ・ワイン
クリストフ・ランドリー氏
(シャトー・デ・グラヴィエ、AOCマルゴー)

ワインの女王と言われている「シャトー・マルゴー」(ボルドー格付け第一級)を初めとする豪華な格付けシャトーが名を連ねるマルゴーAOC(原産地統制名称)。その一つである「シャトー・デ・グラヴィエ」は、世界中に隠れたファンを持つユニークな生産元だ。エコシステム(生態系)を尊重して作られたこのワインは、世界のバイヤーの注目を集めている。(パリ=ジャーナリスト・俵 麻呂)
その五代目当主であるクリストフ・ランドリー氏(写真)は、1995年に家業を継ぎ、まず化学肥料と農薬を使用していた両親から受け継いだぶどう畑(8ha)を有機栽培に切り替えた。

2007年には、半世紀以上放置されて草原になっていた元ぶどう畑(11ha)のAOCマルゴー再認定を勝ち取って、独自のワイン作りに取り組んでいる。
その背景を簡単に説明すると、1954年の同AOC制定当時、その認定は地主の自発的な申請によるものだったので、煩わしい規制を避けるために、その手続きをしなかった農家もあり、AOCマルゴーの価値のある土地が放置されて野原や建設地になっているところもあるそうだ。
■周辺の野生地を購入し、肥沃な土壌づくり