「社会課題解決になるビジネスしかやらない」がモットーのボーダレス・ジャパン。途上国の貧困問題解決のため、あえて「エシカル」を押し出さないハーブティの販売で成功を収めました。妊産婦の悩みを解決することで、エシカル以上の付加価値を生み、より大きな市場を開拓したのです。いわゆる「エシカルマーケティング」とは異なった切り口での戦略を紹介します。(ボーダレス・ジャパン代表=田口一成)

2010年まで、日本には「産前・産後向けのハーブティ」という確立された市場はありませんでした。この市場を切り開き、現在では全国の産院の約15%にあたる450院で紹介・配布され、ママたちから支持を得ているのが、僕が代表を務めるボーダレス・ジャパンが行う事業「AMOMA natural care」です。妊娠・出産を迎えたママの中での認知度はとても高く、「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー2014」を受賞、2014年の年間売上は約8.5億円を達成しています。
ボーダレス・ジャパンは、「社会問題を解決するソーシャル・ビジネスしかやらない会社」ですから、この事業の目的も「発展途上国の貧困問題を解決すること」にあります。ただ、この商品を販売する際に「貧困問題を解決する」というエシカルな側面があることには、ほとんど触れていません。
「貧困問題を解決する」という取り組みをしている商品なのに、どうしてそれをもっとアピールしないの?と思う人は多いかもしれませんね。ただ、僕らはあえてそうしています。
僕らが「ソーシャル・ビジネス」を展開していく上で、最も大切にしていることは「貧困問題をビジネスの力で解決し、より多くの人を救うこと」です。より多くの人を救い、最大のソーシャルインパクトを出したいからこそ、僕はNPOではなくビジネスの世界を選んだのです。
気候条件が厳しく土地が痩せている貧困地域でも育つ強い植物として「ハーブ」に目を付けました。このハーブで一人でも多くの貧困農家を救うために、僕らは 「エシカル」とは別の高い付加価値を付けることにしました。