例えば、フードバンク側のトレーサビリティーと業務管理の事例がある。各地のフードバンクが採用している配送記録管理や在庫管理のシステムについて細かく記載されている。受け入れ明細の記載の仕方や、フードバンク利用者が記載する「利用案内書」の雛形、さらにはシステム導入にあたってのおおよそのコストまでが載っている。

「受益者にお守りいただきたいこと」「寄贈者へのお願い」では、それぞれが気持ちよくフードバンクを利用できるように、決まり事が書かれている。例えば、食品メーカーは取り扱う食品の賞味期限や消費期限を確認して申し込みフォームに記載し、仲介者であるフードバンクに送付すること、受益者は期間内の消費を厳守すること、などである。フードバンクや食品メーカーなどの提供者と受益者が仕組みや決まりを理解し、気持ちよく商品を送って、消費することが大事だ。
■フードバンクにも「why」が重要に
「なぜ(フードバンクを)やるのか」。セカンドハーベストジャパンのマクジルトン・チャールズ理事長はセミナーの講演で問いかけた。フードバンクに関わらず、活動の意味を伝えることは重要だ。ともすると「何をやっているか」「どうやっているか」を重視して伝えがちだ。しかし、昨今のメディアを見ていると「what」や「how」ではなく、「思い」である「why」に共感するようなマーケティング手法が注目されている。これからの時代はマーケティングだけではなく、社会活動にも「why」が重要になってくると感じた。