■親にも時間的な余裕が生まれる
体育館では夜7時から2時間近く、子どもたちの元気な練習の声が響いていた。技術だけでなく自立心など精神面を鍛え、礼儀を身につけることができるのが武道の良い所だろう。終了する夜9時に合わせて親たちが迎えに来た。
口コミでこの仕組みを知って利用しているという庄司日向子ちゃん(9歳)のお父さんの誠さん(41歳)によると、夕方6時に仕事を終えてから帰宅し、7時の空手教室に間に合うように食事を準備することは困難だという。仕事か食事か何かを犠牲にしなくてはならない。TEAM空のお陰で、日向子ちゃんは空手を習い続ける事ができるし、親にも時間的な余裕が生まれ、「とても助かっている」という。

好き嫌いが減った、目標に向かうことを学んだ、引きこもりがちだった子どもが積極的に挨拶をするようになった、などの喜びの声もTEAM空には寄せられている。船戸さんの描いた「親にも子どもにも喜ばれる仕組み」は地域にしっかり定着してきた。
様々な地域から、「ベンチマークにしたい」と視察に訪れているといい、「今後こうした仕組みが全国に広がって欲しい」と船戸さんは話す。内閣府の子ども子育て支援制度や女性活躍推進法が動き出すなかで、ますます地域ぐるみで子どもを見守るニーズは高まるだろう。子どもや親だけでなく、企業や社会にとっても価値をもたらす仕組みと言えるのではないか。