
企業の女性CSR担当者などで組織するCSR48は6月8日、「女性活躍推進から考える ワークスタイルのデザイン」セミナーを、グループウェア開発最大手サイボウズの東京オフィス(東京都中央区)で開いた。約50名が参加し、ワークスタイルの変革が必要な社会的背景と、多用な働き方を模索するサイボウズのチャレンジを学ぶ場となった。(CSR48、キューアンドエー 広報・秘書部=来栖 香) CSR48とは
■女性活躍推進への様々な疑問
今年4月1日に女性活躍推進法が施行されたことを契機に、多様な人材を活かすことが企業の成長戦略として重要視されつつある。しかし、女性活用の数値目標と行動計画の公表などは完了したものの、具体的な取組みはまだこれからという企業も少なくないのが現状だ。
イベントを企画した経緯について、CSR48の「総監督」太田康子は次のように語る。「女性活躍推進は本当に必要なのか。本当の意味で女性が活躍するというのは、どのような社会なのか。男性からみた女性活用の取り組みについての本音はどのようなものか。そうした疑問を参加者と一緒に考えてみたい」
講師にはCSR48のサポーターでもあり、新しい働き方の先端を行くサイボウズの社長室フェロー、野水克也氏を迎えた。データに基づき、実例も交えた説明に、参加者は熱心に耳を傾けていた。当日は、人事や企業のCSR部門に加え、NPO職員、行政関係者など幅広い分野から、女性の活用について問題意識を感じている方々が集まった。
■なぜワークスタイルを変える必要があるのか

野水氏は講演で、「労働環境の国際比較をみると、我が国は長時間労働が顕著であり、雇用形態も正社員の終身雇用、年功序列という高度経済成長期の『同じスキルと同じ行動特性を持った人を大量に育成し、同一価値で競争させる』というワークスタイルがまだ残っている」と指摘した。
確かに、男女とも一度離職すると、元の給与水準には戻ることが難しいという現実がある。その結果、男性は定年まで長時間労働で働き続けることが求められ、女性は出産・介護などによる雇用形態の変更で給与が大幅に下がるというライフイベントが待ち受ける。特に女性はいったん正社員という雇用形態から離れると、新卒時代の給与に戻すことすら難しい。まだまだ女性が経済的に自立して生きていくことはやさしくはないと言えるだろう。男女とも、現状のワークスタイルでこれ以上の活躍を目指すことは、もはや限界なのである。