率直に言って、そのほうが管理しやすいし、区域内への立入りや開放の要望をお断りする際に説明しやすい、との発想もあった。

バードサンクチュアリ開設当初の「設備投資」は、池のほとりにあった物置の観察小屋への簡単な改装費用、池の工場側岸辺への生垣設置費用(池の水鳥から工場の建物や人間の姿が見えなくなるように設置)など150万円程度だった。
立ち入り禁止にしたサンクチュアリ内の遊歩道に代えて、生垣に沿って新たに設置した歩道の整備や緑化など、趣旨に共感してくれた従業員のボランティア活動によるところが大きかった。
その後、来観者が増えるなか、観察小屋の窓を増やし観察できるスペースを広げる、小屋の出入口のブロックを積み上げた階段から、車椅子なども入れるスロープにするなど2年間で500万円ほど使った。これらは、工場で例えると「増産対応の増設」のようなものだから会社や工場の理解も得られやすかった。
それにしても、2002年当時に工場の中に1万㎡以上の立入り禁止区域を設け「バードサンクチュアリ」を設置するなどという突拍子もない提案を事業所長以下、工場の皆さんが受け入れてくれた。そして、それを会社としても推進してくれた。なんと懐の深い企業だろうと今にしても思う。
当時の事業所長が挙げた条件は、
● 「バードサンクチュアリ」という呼び名に相応しいものであること
● 「私」が転勤した後も維持管理できるようにすること
という2つだった。