世界はプラチナ社会の実現を
――この10年で日本の家電メーカーの競争力が急速に衰えました。次に、これが自動車業界に波及したら、日本経済は大きなダメージを受けてしまいます。
スマートフォンの部品の多くは日本製でも、日本製のスマートフォンは競争力がありません。家電も自動車メーカーもそうですが、やはり最終商品を作る企業が本当に無くなったら日本は危なくなります。
――若いミレニアル世代が世界で消費を大きく変えようとしています。物を買わない世代とも言われ、ウーバー(Uber、米国発の新しい配車マッチングサービス)やAirbnb(エアー・ビーアンドビー、民泊のマッチングサービス)などシェアリングエコノミーが広がるのもその一例です。
それもありますが、ウーバーが成功したのはイノベーションを起こしたからです。都市でも過疎地でもタクシーより便利です。大いなるビジネスチャンスが生まれたのです。
――ところが、日本では強固な岩盤規制が依然として健在です。
結局、日本の中央集権体制の限界でしょうね。中央省庁で決めると、関連団体が反対や陳情を繰り返し、骨抜きになってしまう。でも日本で流しのタクシーが拾えるところは総面積の5%もないでしょう。95%の地域ではウーバーがあった方が良いのです。
日本ももう少し地方分権で動くようになれば良いと思います。地域の人たちが自主性を持ち、自分たちのために自分たちの地域をつくると。QOLを上げて、誇りある人生を送るためにです。
――英国のEU離脱やトランプ氏の当選など、世界ではグローバリゼーションの負の側面によって、社会が分断される傾向があります。日本でも将来、その可能性はありますか。
人類全体に大きくのしかかっている課題なのは間違いないです。みんながある程度ものを持つと成長率が低くなり、格差が広がりますから。そうした分断が保護主義やナショナリズムにつながっていく危険はあります。
では何をすべきかというと、やはり「プラチナ社会」を目指すことだと思います。途上国もそうです。今や、インドのPM2.5の濃度は北京の3倍と言われています。GDPが増え、環境が汚染される。豊かになってようやく対策を取り始める。先進国の軌跡をたどっていますよ。最初からプラチナ社会を目指すべきでしょう。
