
オスに比べ、はるかに地味な色彩のジョウビタキのメスにも、この白斑はあり、同じようによく目立つ。
この白斑は、どのようなメカニズムで生まれ、あるいは消えたのか、彼ら自身にはどのように見えていて、どのような意味を持つのだろうか。
先月(2016年11月)、モロッコのマラケシュで開催された第22回国連気候変動枠組条約の締約国会議(COP22)に続き、今月4日から17日まで、メキシコのカンクンで生物多様性条約の第13回締約国会議(COP13)が開催されている。
COP13では、「各種セクターへの生物多様性の保全および持続可能な利用の組込み」、言い換えると、さまざまな分野や個人・組織において、日常の生活や事業活動の中で、生物多様性保全の重要性が当然のこととして認識、共有されること。そして自然と共生しながらその恵みを活用、享受していく具体的なモデルを検討・構築すること。とりわけ農林水産業および観光業における、その実践と定着が大きなテーマの一つだ。
ジョウビタキは、古来、秋になると海を越えて飛来し、その特徴的な白斑から、紋付き羽織という日本人の言わば「正装」を由来とする「紋付き鳥」との愛称を持つ身近な冬鳥だ。
しかし、この当たり前の季節の営み、出会いが今後とも続くか否か、私たち人間の選択と営為に大きく左右される。
人間を見つめる紋付き鳥のレスキューオレンジの姿は、社会の持続可能性の危機に私たちがどう向き合っていくか、問いかけているかのようだ。