日本も温暖化対策を経済成長のチャンスとしても積極的に捉えよう
パリ協定のルール作りは、今後の世界経済のルールを作っていく作業でもあります。日本は、パリ協定を批准するのが遅れてしまったので、消極性が目立ってしまった感がありましたが、もともと日本は低炭素技術に秀でているだけではなく、異常気象などに備えたりする適応技術も優れています。
世界に貢献しながら、日本の持つ技術力をさらに生かしていくためにも、今後の低炭素・脱炭素社会作りに向けて、日本もパリ協定の実施に向けて積極的な姿勢で取り組んでいってほしいと思います。

次のCOP23の議長国は、温暖化の悪影響に最も苦しんでいる国の一つであるフィジーに決まりました。ただし、フィジーには大きな会議場はないため、開催される場所はドイツです。
フィジーの代表団は、その発表の挨拶でアメリカの次期大統領に向けて、「フィジーに来て、温暖化のもたらした悪影響を自身で見てほしい。「温暖化がでたらめである」という今の考え方を捨てて、パリ協定に真剣に取り組むようにと要請する」と言葉を紡いで、会場の聴衆からスタンディングオベーションを浴びていました。
低炭素、そしていずれは脱炭素社会へ向かって、世界は大きく動いています。
なお、パリ協定についてもっと知りたい方は、ぜひ小西雅子著「地球温暖化は解決できるのか~パリ協定から未来へ~」(岩波ジュニア新書)をお手に取ってみてください。分かりやすいと好評です。
小西雅子・WWFジャパン気候変動・エネルギープロジェクトリーダー
兵庫県出身。神戸大学卒。ハーバード大学院で公共政策学修士号を取得。中部日本放送アナウンサーを経て、民間気象予報会社で世界の天気と環境報道に携わる。日本気象予報士会副会長。2005年9月より現職。国連気候変動枠組条約会合参加など国際交渉と、国内のエネルギー&気候変動政策提言に従事。東京都環境審議会委員など公職多数。