今年の2月から5月にかけて「5」のつく日にJCBカードを使うと、買い物1回につき1円が東日本大震災の復興支援に寄付される。この『「5」のつく日。JCBで復興支援』の取り組みは、今年で7年目を迎えた。総額3億1千万円を超える大規模な被災地支援活動を今なお継続するのは、どのような思いや判断があったのか。
■自然体で社会貢献できる社風へ
オフィスへの入退室カードを首から提げたストラップに、小さなバッジがいくつも並んでいる。赤、青、緑はJCBのロゴの色。さらに輝く銀色のバッジ。すべて「社会貢献プログラム」に参加した証だ。
JCBは創立50周年を記念して、全役職員を対象に、2011年からNPOや福祉作業所、高齢者施設などでボランティアを行う事業をスタートさせた。絵本を作る、外国コインを仕分けする、介護施設で食事の補助をするなど、さまざまなプログラムが毎月用意されている。所属長の許可を得れば、業務時間扱いで参加することができる。

「世の中にはどんな社会課題があり、どんな人が向き合っているのか。会社の視野を広めるきっかけになっていると強く思います。社員同士で誘い合うなどして、各自自然と参加しています。特にプログラムに3回参加することでもらえる銀色のバッジは好評です」
JCBの寺田博司広報部長はバッジを見せながら話した。自身も昨年は森林ボランティア、今年は救命講習に参加したという。
■被災地支援を続ける理由とは
JCBには、こうした社会貢献プログラムと並ぶCSRの大きな柱がもう一つある。東日本大震災が起こった2011年にスタートした『「5」のつく日。JCBで復興支援』だ。
期間中の「5日」「15日」「25日」にJCBカードが利用されるたびに、同社が1円を復興支援団体に寄付する。過去6年の支援金は総額3億1千万円以上に上る。
これまで、のべ106団体がこの資金を元に、障がい者やシングルマザー、震災遺児など支援の行き渡りにくい人々に対して、工夫と想いを込めた手を差し伸べた。
東日本大震災から早くも7年目となり、数多くの企業が支援を終了するなか、なぜJCBは大きな規模の支援を続ける判断を下せたのか。
「もちろん、小さな金額ではありませんから、毎年経営に諮って継続を判断しています。しかし、我々は東日本大震災の復興はまだ『道半ば』ととらえています。東北にはカードをお持ち頂いている方や加盟店、ステークホルダーのみなさんといった、我々の事業を支えて下さる方がたくさんいます。今なお避難者の数は約12万人にも上るというデータ(復興庁)もありますし、なにより地元の具体的な声を聞いていることが、被災地支援を続ける一番の理由です」(寺田部長)