■世界とつながる「クールジャパン」
フランスのアルザス地方と岐阜県のつながりは深い。2014年に「日本-アルザス友好150周年」事業の一環として、多くの経済協定が調印された。
その一つが、2014年11月に締結の白川村とアルザス地方のリクヴィール村の「友好関係推進宣言書」の調印である。これはアルザスと岐阜県との次のようなつながりの一環だ。
・岐阜県-オーラン県 経済・観光に関する協力覚書
・高山市-コルマール市 経済・観光協力協定書
・飛騨地酒ツーリズム協議会‐アルザスワイン街道 友好提携宣言
・一般財団法人バイオインダストリー協会とアルザスバイオバレー
このように、岐阜県、高山市、白川村という重層構造の関係構築である。
筆者にとってアルザス、特にコルマールは忘れられない。40年以上にもわたりミシュラン三ツ星に輝き続け、世界中の美食家たちを魅了してきた伝統あるレストラン、「オーベルジュ・ド・リル」(L’Auberge de L’ill)がある。アルザスのコルマールのそば、小さな村イルハーゼンに佇む旅籠屋(オーベルジュ)だ。筆者もフランス留学中の30年以上前に「わざわざ」行った。

■地元の良いものを掘り起こし伝統とつなぐ「クールジャパン」
白川村では、最近では食にも力を入れている。郷土の「すったて」という、石臼ですりつぶした大豆に、味噌や醤油をベースにした出汁から作られた、「白川郷平瀬温泉飛騨牛すったて鍋」は、白川村南部地域の有志で結成された『白川郷鍋食い隊』が鍋料理にアレンジした逸品だ。
埼玉県和光市商工会が毎年開催している、「鍋」をテーマにした料理グランプリ2014年大会では初出場初優勝、2015年大会では準優勝という好成績を残している。食べてみたらとても美味しかった。
「クールジャパン」とは、日本のいいものを発信していくことだ。クールジャパンの要素は、「相手をおもんぱかる」「クリエイティブ」「課題解決力」といった点だ。白川郷はその歴史、たたずまい、そして人々のおもてなしからクールジャパンそのものだと感じることができた。