著者の林 将之さんは、以前から「デジタル標本」と呼んでいる実際の葉っぱをスキャナーでスキャンした画像を図鑑に掲載していて、葉っぱは可能な限り原寸大で表示されている。原寸大でないものは比率が書き加えてあるので、フィールドで見比べるときにとても役立つ。
またページの構成も葉の形が似たものでグループ分けしてあり、見開きごとに「葉裏に金属光沢がある」「香りのある葉」「葉が対生する常緑樹」などそのグループ特徴が見出しになっている。これは、自分のような素人にはとても使いやすいまとめ方だと思う。B5サイズなのでポケットに入れるわけにはいかないが、ザックの中に入れておきたい一冊だ。

「木を見て森を見ず」になってはいけないが、一つひとつのディティールも大切だ。全体ばかりを気にして細かいところに配慮が届かないのは困る。多数意見ばかりにとらわれて、少数意見を無視するようになってはいけないと思う。森の木の種類のことを考えながら、最近の世情についても考えてしまった。針葉樹、広葉樹を含め、多様な樹種が分布している日本の森は、多様であるがゆえに美しい。日本の国もそうあって欲しい。
参考:山と渓谷社 くらべてわかる木の葉っぱ 林 将之
http://www.yamakei.co.jp/products/2816063530.html